通信くさぶえ 565号

畑を耕すということ・・・その3

 前回、太陽熱養生処理について紹介させていただきました。この太陽熱養生処理と併せて、土壌分析を適宜行い、畑の状態を把握しながら、肥料の不足や過剰がないように無駄のない施肥設計を行うことが重要だと考えています。

 肥料の三要素と言われる、窒素、リン酸、カリウムに加えて、カルシウム(石灰)とマグネシウム(苦土)、または微量要素と言われるうちの、ホウ素、マンガン、鉄がどれくらい畑にあるのかを把握して、堆肥などの有機質肥料と併せて、ミネラル肥料を使い、ミネラル豊富な質の高い健康な野菜を作ることを目指しています。

 少し話が変わりますが、近年は温暖化の影響でしょうか、夏の猛暑やゲリラ雷雨など、干ばつと大雨が以前よりも頻繁に繰り返し起きるようになってきました。

 くさぶえ農園では野菜と草を共存させることで、この厳しい状況を少しでも緩和出来ないかと考えています。野菜の畝間の草は全部なくすのではなく、野菜に影響を与えない程度に刈ったり、耕耘したりすることで、干ばつの時には乾燥を防ぐのに役立ちます。また、大雨の時には、畑の土が流出するのを防ぎ、畑に溜まった水を草が吸い上げて蒸散させるので、草のない所よりも早く水が引いていきます。

 加えて、畝間に草を生やすことで、害虫の天敵が畑に入りやすくなるという効果も期待出来ます。実際に、ニンジンやキャベツなどで被害が大きいネキリムシが捕食される瞬間を見ることが出来ました。画像(上図)のように、ネキリムシ(左側の幼虫)が天敵の幼虫(右側)に捕食されています。この天敵はオサムシ類の幼虫で、生息環境からクロナガオサムシやエゾカタビロオサムシ、アオオサムシなどが考えられるそうです。農園の畑は林に隣接していて、これらのオサムシ類が生育しているようです。後日、畑でエゾカタビロオサムシの成虫の死骸にも出会いました(画像下図)。

 このように畝間に草を残した草生栽培は、畑の乾燥、冠水対策が出来、害虫の天敵の住み易い環境を作り出すことが出来ますが、草の種子がたくさん畑に入ってしまい、次作以降の作物の栽培に影響を及ぼす場合があります。しかし、次作以降に太陽熱養生処理を取り入れることで、草の種子を減らすことが可能となります。(つづく)

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ホーレンソウについて・・・

 ホーレンソウが大きく育ってきましたが、アザミウマ類やケナガコナダニ類の被害に遭って、葉が奇形したり、委縮したりしたものがあります。被害のひどいものは除いていますが、加熱調理すれば問題なく食べられると思います。見た目の悪いものも混じるかと思いますが、ご理解いただければ幸いです。