通信くさぶえ 532号

梅雨入りしました。

 6月9日に長野県を含む関東甲信と北陸地方が梅雨入りしました。8日に九州北部、中国・四国、近畿、そして東海地方が梅雨入りしており、一気に梅雨入りした感じです。関東甲信は、梅雨入りの早さとしては観測史上2番目に早かった昨年と比べると13日遅い梅雨入りですが、平年より1日遅い梅雨入りです。今年は暑くなったり、寒くなったり、と春がはっきりとしなかったですが、梅雨入りの時期はまずまず平年通りでした。

 梅雨の時期は、思うように農作業が進みませんが、この雨の中で夏野菜たちが大きく育っていきます。今年の夏はどんな夏になるのでしょうか?

ブログを分かり易いように作り変えています。(その3)

 今回も続きを紹介させていただきます。

■くさぶえ農園の考える旬の野菜

 以前、FMラジオを聞いていて、とてもいい話を聞きました。

 古くから日本では、同じ食べ物でもその食べ物のとれた時期や状態などにより、「初物」、「旬」、「なごり」と呼び方を区別して使い分けていたそうです。野菜に関しても同じことが言えそうで、いろいろと考えさせられました。

 種を播いて育ててきた野菜が大きくなり、収穫時期を迎えて最初にとれ始めたものが「初物」です。まだまだ収穫量も少なく、味もこれからピークを迎えるといった感じですが、ようやく迎えた収穫期を喜びます。

 そして、収穫の最盛期を迎えて、その野菜の「旬」となります。収穫量も増え、味ものってきて、その野菜の美味しさを存分に楽しむことが出来ます。

 次第に生育後期になっていき、収穫量も減り、味も次第に落ちていきますが、その野菜を「なごり」と呼んで最後まで楽しみます。

 こういった呼び方とは別に、漬物にして長期間保存しながら食べるものは「時知らず」と呼んだそうです。とても素敵な日本語だと思いました。

 現在は、スーパーなどで野菜を買うことが一般的になり、「旬」の状態のものだけが並ぶようになりました。しかし、野菜を育てていると「旬」の時期はとても短いことがよく分かります。そして、「初物」を味わう喜びや、「なごり」を楽しむことがとても大切なことであることに気付かされます。これらの言葉は、食べ物を育てながら大切に食べてきた日本人の生活から生まれてきたものなんだ、と思います。

 また例えば、小松菜やホーレンソウなどは品種の開発や栽培方法などによって1年中栽培して食べることが出来るようになりました。しかし、もともとの旬である冬の味に勝るものはありません。マイナス10℃を下回る厳寒期のハウスの中で、ストーブなどで加温されることもなく、寒じめされた小松菜やホーレンソウは、お店で売られているものに比べると見た目は悪いです。しかし、野菜自身が糖度を上げて凍らないようにと頑張っていて、その味は最高だと思います。そんな野菜たちもお客様に是非食べていただきたいと思っています。

 くさぶえ農園では、「旬」の野菜だけでなく、「初物」や「なごり」のもの、そして「時知らず」もお届けしながら、いろいろな顔を持つ野菜を味わっていただけたら、と考えています。(つづく)