通信くさぶえ 452号

パープルスウィートロードをお届けします!

 サツマイモが収穫期を迎えました。今年もくさぶえ農園では紫イモの「パープルスウィートロード」と「鳴門金時」の2品種を栽培しています。まずは、比較的早生の紫イモからお届けしていきます。「パープルスウィートロード」は、アントシアニンの含有量が高く、食味の良い紫イモです。今年の猛暑でサツマイモの出来は良いようです。また、今年初めてミネラル類を施肥した効果も重なって、例年よりイモの太りも良くて甘みの強いものが出来ました。

今年の猛暑について・・・

 先週、9月16日(木)にNHK「クローズアップ現代」で「異常気象はなぜ起きた」が放送されました。今年の猛暑について通信450号で気象庁の発表に触れましたが、この放送では最新の研究から猛暑の原因として浮かび上がってきた、世界中の海で起きた「海水温の上昇」と、北の空で起きた「偏西風の大蛇行」について取り上げていて大変興味深く観ました。

 今冬、太平洋、インド洋、そして大西洋、まさに世界中の海で平年より1~2℃も海水温が高かったそうです。これは「地球温暖化の影響が無視できない状況になってきている」と言われていました。

 また「偏西風の大蛇行」について、その原因は分からないところが多いようですが、ロシアの猛暑(今夏は平年より10℃以上も気温が高く、大規模な森林火災が起きました)、パキスタンの大洪水、中国の大洪水、そして日本の「スーパー猛暑」、これら全てに関連しているそうです。「異常気象は連鎖する」という気象学者の言葉が印象的でした。

 そして、今年の偏西風の蛇行と、日本が記録的な冷夏となった2003年の偏西風の蛇行が極めて似ているとしていました。この2年の偏西風の蛇行の比較から、「温暖化傾向が続けばジェット気流(偏西風)が強まる傾向にあります。そうすると、そのジェット気流が蛇行して、ある時は今年のような猛暑になり、ある時は紙一重で冷夏になります。つまり極端な異常気象が起きやすくなります。」と、なんとも恐ろしい話をしていました。

 そんな中、暑さにも寒さにも影響を受けにくい農作物を探し出そうという秋田の横手市実験農場の動きが伝えられました。「品質の良さも食味の良さも大事ですけども、天候に強く順調に育って実をつける育種が必要ではないかな、と思っています。」という言葉がとても納得出来ました。また、日本市場での遺伝子組み換え作物を売り込むチャンスととらえている外国の大手種苗メーカーの動きも伝えられ、注視しなければいけないとも思いました。

 くさぶえ農園では、この夏はトマト、キュウリ、ナス、トウモロコシなどは良く出来ましたが、この時期にお届けする予定の夏大根やブロッコリーにホウ素欠乏が見られ、ほとんど収穫出来ていません。これも天候の影響が大きいと考えています。一方、上述のようにサツマイモはまだ掘り始めたばかりですが豊作のようです。

 このように少量ですが多品目を栽培していると、年によって出来の悪い野菜もありますが、良い野菜もあるという利点があると改めて感じました。もちろん、日本農業全体がこのような農業に簡単には切り換えることは出来ないと思いますが、こういった有機農業も受け入れていけるような懐の深い日本農業であって欲しいと願っています。